【高利回り】インフラファンドを選ぶときに見るべき項目とメリット・デメリット

投資

公開日 2022-09-21
最終更新日 2024-05-03





インフラファンドとは

インフラファンド(以下IF)は太陽光発電施設を対象として投資を行う金融商品です。REITの太陽光発電施設バージョンと考えておけば問題ありません。

投資先の太陽光発電施設は発電した電力を電力会社に売電し、投資家はその売電収入から投資口に応じて分配金を得るという仕組みになっています。

今回の記事はインフラファンドに投資するにあたり、最低限見ておきたい点を備忘録も兼ねて纏めていく、という趣旨になります。

投資をするにあたってインフラファンドが気になるものの、一般的な株式と異なる点が多くて何を基準に投資先を選別していけば良いのかわからない、という方にお勧めの記事です。





インフラファンドのメリット

現在日本では5銘柄のIFが東証に上場しています。

以下、IFのメリットをいくつか記述します。

世界的な脱CO2の流れに即しており、資金が流入しやすい

現在では世界的にESG投資が推進されており、その中でも脱CO2の流れは大きな潮流を形成しています。

IFはまさにこの脱CO2の流れに即した投資対象であるため、今後機関投資家たちから資金が流入しやすくなることが予想されます。

残念ながら、現時点ではIF市場の規模が小さいため、機関投資家たちはIF市場に大きく参入することが出来ませんが、これからのIF市場の拡大に伴い時価総額が大きくなっていくにつれ、機関投資家たちも参入しやすくなるため、機関投資家たちから流入してくる投資金額が増加し、投資口価格が上昇していくことが期待されます。





収益が安定している

太陽光発電により生み出された電気を含む再生可能エネルギーは、FIT制度(固定価格買取制度)※によって一定期間買取価格(=売却価格)が変動しないようになっています。

この制度により売電価格が安定しているため、発電施設の収入は安定します。IFの収益はこれらの施設からの賃料収入なので、売電価格が安定していればIFの収益も安定するわけです。

加えて、賃料は最低固定賃料+αの形態を取っているので発電量が多ければその分収益は増えますが、発電量が少なくても下げ幅は限定されています。

なお、この売却価格が固定される収益構造は不況・デフレ時にはプラスに働きますが、好況・インフレ時にはマイナスに働くことも押さえておく必要があります。

※2022年4月よりFIT制度と平行してFIP制度という新たな制度が開始されます。FIT・FIP制度の細かい説明はこちらでご覧ください。





分配金利回りが高い

IFにはREITと同様、利益の90%以上を分配金として投資家に分配することで、法人税を免除される仕組みがあります。

加えて、減価償却費※という会計上の規則により、REIT・IFは手元に残るキャッシュが多くなります。特にIFはREITよりも減価償却費が収益に占める割合が多いため、REITよりIFの方が手元に多くのキャッシュが残りやすくなり、そのキャッシュも超過分配金として投資家に分配されます。

こういった仕組みにより、REIT・IFは他の投資対象と比較して分配金利回りが高くなる傾向にあるわけです。

※固定資産に対して発生する会計上の概念。固定資産評価額のうちの一定金額が費用として計上されるが、キャッシュアウトを伴わない(現金が流出しない)ため、その分手元に多くのキャッシュが残る。





インフラファンドのリスク

以下、IFのリスクを記述します。

法律の変更・制度の終了リスク

上述のFIT制度は期間が決まっているため、当該期間が終了すれば売電価格は変動するようになります。

現在の固定価格は割高であり、制度が終了すれば売電価格は下落するため、制度終了後はIFの収益低下が懸念されています。それまでに発電コストをどれだけ削減できるかが今後の鍵となるでしょう。

また、IF市場は形成されてからまだ日が浅いため、他の市場と比べて法律・制度の変更が発生しやすいです。

例えば直近だと「発電設備廃棄費用積立の義務化」が施行されましたが、この施行によりIFの収益低下が予想されています。





増資リスク

利益の90%以上を分配するという仕組み上、IFは内部留保を蓄えづらいので発電施設の建設や買収に際して増資・融資を多用します。

増資が行われれば一投資口当りの価値が希釈されてしまうため、投資口価格は下落してしまいます。

増資に関しては投資家目線からは賛否がありますが、IFに投資する上では避けては通れない事象であるので、投資する際には考慮しておいた方が良いでしょう。





金利リスク

銀行から融資を受ける際には当然金利が発生します。当然ですが、金利が高ければ高いほど、収益性は低下します。

金利は好景気やインフレ時に政策金利の引き上げを通じて上昇することが多く、日本は基本的にインフレになることが少ないため、こちらは過度に気にする必要はない…とこれまでは言えました。

現在、日本の通貨である円は、数十年ぶりの大幅な円安に触れています。

この円安の要因の一つとして、外国と日本の金利差が拡大していることが挙げられています。

海外がインフレ退治を目的とした政策金利引き上げを行っている最中、日本はかねてより行なっているゼロ金利政策を継続しているため、金利差はどんどん拡大しているわけです。

そしてこの金利差を解消する方法は、外国がインフレ退治に成功し政策金利を引き下げるか、日銀が政策金利を引き上げるかのふたつにひとつです。

外国のインフレは今なお進行していて、前者の選択肢があまり期待できないとなると、日本が円安を解消しようと考えた時、出来るのは後者の選択肢を取ることとなります。

仮にそうなれば、それはインフラファンドにとっては明らかにマイナス材料となるでしょう。





天候・天災リスク

天候不順が発生すれば発電量は減少するでしょう。ただこちらに関しては、最低保証賃料が決まっているため現時点では気にする必要はありません。

また、日本は台風・地震・噴火・津波などの天災リスクが大きい国です。近年では大雨が頻発するなど、気候変動による異常気象などのリスクも生じています。

日本のどの地方においてもこれらの災害リスクを避けることは出来ないので、どこかのタイミングで必ずこのリスクが顕在化することを考慮しておく必要があります。





投資時に見るべき3項目

IFに投資を行う際に目安にする指標は、一般的な株式と異なります。

業績に加えて最低限見ておいた方が良い指標は以下の3つです。

資産規模

資産規模が大きければ大きいほど、より多くの施設を保有しているということです。保有施設が多ければその分利益も多くなり、投資家に分配される金額も多くなります。そうすると投資先として魅力が高まり、資金が集まりやすくなり投資口価格も上昇しやすくなります。そうすると融資・増資により資金を集めやすくなり…。

魅力が先か資産規模が先か、どちらかは分かりませんが、つまるところ資産規模が大きいほど投資対象としての魅力が高まりやすくなるということです。





保有物件のポートフォリオ

保有している発電施設がどこに設置されているかは、天災リスクに対するリスクヘッジの観点から確認しておくことをオススメします。

例えば、発電施設が海のそばに偏っていた場合は津波で、火山のそばに偏っていた場合は噴火で、南の方に偏っていた場合は台風で、のように一カ所に施設が偏っていると天災によって発電施設が全滅するリスクがあります。

日本全土で地震が発生する可能性があることを鑑みると、あまり過敏になるのも良くないでしょうが…





分配金の推移・過去の増資

IFは分配金による利益を享受することを目的に保有することが大半だと思います。

言うまでもないと思いますが、投資対象の分配金利回りはどの程度なのか、分配金は過去にどのような推移をしているのかを見ておくのはマストでしょう。

特に過去に減配していないか、どの程度、頻度で増資をしているのかに注目すると良いと思います。





まとめ

IFは分配金も高利回りであり投資口価格も基本的に安定しています。

株式・REIT・債券と異なる性質を持つことから、他の金融資産と異なる価格推移をすることが大半であるため、ポートフォリオにある程度含めることを検討しても良い投資対象でもあるといえるでしょう。





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