公開日 2020-11-08
最終更新日 2021-04-05
投資家のムッヒョです。
今回は、THE・総合商社である「三菱商事」の銘柄分析をしていきます。
同社は高配当株として有名です。保有に適しているかどうか分析していきましょう。
今回の記事を読むことで、この銘柄が購入・長期保有に向いているかどうかがわかります。
ぜひご覧ください。
基礎データ
株価 | 2389.5円(11/8時点) |
一株配当 | 134円 |
配当利回り | 5.6% |
株主優待 | -- |
株主優待利回り | -- |
配当+優待利回り | -- |
配当支払月 | 6.12月 |
セクター | 商社 |

三菱商事は、業界の中で売上高第一位を誇る業界最大手の総合商社です。
そのセグメントは多岐にわたり、中でも金属資源のセグメントが40%近くを占めます。
2020.3期は石油・化学の利益が赤字に転落してしまいました。
株価チャート


株価はほとんど横ばいに推移し、現在の株価は10年前と比較すると同程度の株価となっています。
業績推移


売上高、営業利益、純利益、営業利益率は、年度によってばらつきが生じています。
※2012.3期以前は、会計基準が現在の基準と異なっているため、営業利益が算出できませんでした。
同社は景気敏感株と言われる種類の銘柄で、世界経済の影響を大きく受ける銘柄です。
景気が良いタイミングでは業績が伸びやすい一方で、景気が悪いタイミングでは業績は下落する傾向にあります。
2016.3期の業績が大きく落ち込んでいる原因は、原油や鉄鉱石や銅など資源価格の下落が原因です。
上述したとおり、同社は特に金属資源のセグメントが大きいので、資源価格の下落により大きなダメージを被ってしまいました。
2019.3期に売上高が前期の2倍以上になっていますが、これは会計基準の変更が要因です。
キャッシュフロー推移

CF(キャッシュフロー)は企業の現金の流れのことを指します。
- 営業CF…企業の営業活動に関係した収益・費用の流れ
- 投資CF…現事業を維持するために必要な資金や事業拡大のために投資される資金の流れ
- フリーCF…営業CFから投資CFを引いたもの。ここから配当金や内部留保、借入金の返済などを行う。
フリーCFがマイナスになっている年が見受けられます。
景気敏感株であるとはいえ、フリーCFがマイナスになっている年がある点には注意が必要でしょう。
配当金性向(PLベース)

- EPS…一株あたり純利益
- DPS…一株あたり配当金
配当性向を見ることで今後の配当の持続安全性を知ることができます。配当性向が低ければ低いほど安全性が高くなります。
一般的に使用されている配当性向はPLベースのものですが、個人的にはCFベースの配当性向を見たほうがより正しい配当持続安全性を知ることができると考えています。
というのも、PLベースの配当性向には「発生ベース計上」「見積もり計上」など、今期のキャッシュイン・キャッシュアウトを伴わない項目(減価償却費など)が含まれているので、正確な配当安全性を見積もりづらいからです。
PLベースの配当性向は、2020.3期で40%程度です。問題ないレベルです。
しかし、新型コロナの影響による業績の低下が要因で、2021.3期の配当性向は99%という超高水準の予想です。これは本来ならば大減配するほどの数値なのですが、同社の配当方針により減配はされません。今期以降の動向に注意が必要です。
配当金性向(CFベース)

一般的にはPLベースの配当性向が利用されますが、配当金はフリーCFから支払われるものです。ゆえに、CFベースでの配当性向のほうが安全性をはかる際にはふさわしいと個人的には考えています。
CFベースの配当性向は、上下に激しく乱高下しています。
正直安定しているとは言いがたい様子です。
※2021.3期のCFは不明な状態なので、注意する必要があります。
現金等

利益剰余金は、俗に言う内部留保のことです。注意点として、現金だけではなく、設備・固定資産なども含まれています。
現金等は、企業がすぐに現金化できる証券などを含むキャッシュの残高のことです。
両者は区別して考える必要があります。
一般的には現金等に注目した方が配当安全性を知ることが出来ます。
現金等は、現在1.3兆円弱が保有されています。
もし仮に利益が大きく低減しても、これを配当金支払いに当てることで、当面は配当を減配せずに維持することが出来るでしょう。
配当金推移

配当金にはばらつきが生じています。
2020.3期は一株あたり132円です。
2021.3期は一株あたり134円と、2円増配の予想です。
※2021年までは、累進配当政策によって増配が期待できます。
株主優待制度
実は同社は隠れ株主優待を実施しています。
隠れ株主優待として、カレンダーと美術館(静嘉堂文庫美術館・東洋文庫ミュージアム)の無料招待券が優待としてもらえます。
これらはHPに記載がされていません。
配当方針
『中期経営戦略2018』において、株主還元は配当を基本とし、減配せずに利益成長に合わせて増配していく「累進配当」を方針として掲げました。
2019年度より開始された『中期経営戦略2021』においても、「累進配当」の方針を継続致します。
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/ir/adr/allot/ より抜粋
同社は累進配当政策を掲げています。
累進配当政策とは、減配をせず増配をすることを約束する配当方針のことです。
同政策を日本で行っている企業は少なく、同社の熱心な株主還元の姿勢がうかがえます。
個人的意見
景気はいずれ回復すること、同社の配当方針が「累進配当政策」であり、株主を重視したものであること、企業としての財務基盤が安定していることを考慮すると、長期的に保有するのであればオススメできる銘柄です。
注意点として、同社株式は、高配当株ですが景気に大きく業績が左右される点、配当にばらつきが生じやすい点が挙げられます。
精神衛生上の観点からみると、少し保有しづらい銘柄になっています。
また、「累進配当政策」はあくまで2021年までの配当方針ですので、2021年以降どうなるかは未定である点も留意しておく必要があります。
それらの点を考慮した上で、同社株式は、長期保有するならば、購入しても良いと考えます。
これからの時代は資産運用も重要になっていくでしょう。このブログが皆様の株式投資の手助けになれば幸いです。
共にこの資本主義社会を生き抜いていきましょう!
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※投資は自己責任でお願いします。当ブログは利益を保証するものではございません。
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