公開日 2020-11-15
最終更新日 2021-04-05
投資家のムッヒョです。
今回は、芙蓉グループ系列の総合商社である「丸紅」の銘柄分析をしていきます。
同社は高配当株として有名です。保有に適しているかどうか分析していきましょう。
今回の記事を読むことで、この銘柄が購入・長期保有に向いているかどうかがわかります。
ぜひご覧ください。
基礎データ
株価 | 592.7円(11/15時点) |
一株配当 | 22円 |
配当利回り | 3.7% |
株主優待 | -- |
株主優待利回り | -- |
配当+優待利回り | -- |
配当支払月 | 6.12月 |
セクター | 商社 |

丸紅は、業界の中で売上高第四位を誇る業界大手の総合商社です。
同社のセグメントは電力・エネルギー・金属部門が40%近くを占めています。
2020.3期の次世代事業開発は、純利益が赤字を計上しているので上記のグラフには反映されていません。
株価チャート

株価は横ばいに推移しており、10年前と同程度の水準です。
業績推移


売上高、営業利益、純利益、営業利益率は、年度によってばらつきが生じています。
※2012.3期以前は、会計基準が現在の基準と異なっているため、営業利益が算出できませんでした。
同社は景気敏感株と言われる種類の銘柄で、世界経済の影響を大きく受ける銘柄です。
景気が良いタイミングでは業績が伸びやすい一方で、景気が悪いタイミングでは業績は下落する傾向にあります。
金属・エネルギー部門や食料部門の減損損失が大きな要因となり、2020.3期は2000億円程度の赤字を計上しました。
減損損失はキャッシュアウトを伴わないものであり、無理な配当を行っているわけではないので、配当安全性には影響はないと考えられます。
ちなみに2021.3期の純利益は、1500億円の黒字を予想しています。
キャッシュフロー推移

CF(キャッシュフロー)は企業の現金の流れのことを指します。
- 営業CF…企業の営業活動に関係した収益・費用の流れ
- 投資CF…現事業を維持するために必要な資金や事業拡大のために投資される資金の流れ
- フリーCF…営業CFから投資CFを引いたもの。ここから配当金や内部留保、借入金の返済などを行う。
フリーCFがマイナスになっている年が見受けられます。
景気敏感株であるとはいえ、フリーCFがマイナスになっている年がある点には注意が必要でしょう。
配当金性向(PLベース)

- EPS…一株あたり純利益
- DPS…一株あたり配当金
配当性向を見ることで今後の配当の持続安全性を知ることができます。配当性向が低ければ低いほど安全性が高くなります。
一般的に使用されている配当性向はPLベースのものですが、個人的にはCFベースの配当性向を見たほうがより正しい配当持続安全性を知ることができると考えています。
というのも、PLベースの配当性向には「発生ベース計上」「見積もり計上」など、今期のキャッシュイン・キャッシュアウトを伴わない項目(減価償却費など)が含まれているので、正確な配当安全性を見積もりづらいからです。
PLベースの配当性向は、基本的には20~30%程度を推移しています。
2021.3期は25%程度です。
適切な配当性向を維持していますが、これは同社が大きく減配したからです。
配当金性向(CFベース)

一般的にはPLベースの配当性向が利用されますが、配当金はフリーCFから支払われるものです。ゆえに、CFベースでの配当性向のほうが安全性をはかる際にはふさわしいと個人的には考えています。
CFベースの配当性向は、上下に激しく乱高下しています。
正直安定しているとは言いがたい様子です。
2020.3年の配当性向は50%程度で、問題ない水準です。
※2021.3期のCFは不明な状態なので、注意する必要があります。
現金等

利益剰余金は、俗に言う内部留保のことです。注意点として、現金だけではなく、設備・固定資産なども含まれています。
現金等は、企業がすぐに現金化できる証券などを含むキャッシュの残高のことです。
両者は区別して考える必要があります。
一般的には現金等に注目した方が配当安全性を知ることが出来ます。
現金等は、現在5000億円強が保有されています。
もし仮に利益が大きく低減しても、これを配当金支払いに当てることで、当面は配当を減配せずに維持することが出来るでしょう。
しかし、同社はあまり株主還元に積極的な姿勢ではないので、正直あまり期待できません。
配当金推移

2020.3期は一株あたり35円です。
2021.3期は一株あたり22円と、40%近い減配の予想です。
業績や配当金が安定しないのは、景気敏感株の宿命ではありますが、減配は残念ですね。
株主優待制度
同社は株主優待制度を実施していません。残念。
配当方針
2020年3月期から2022年3月期までの中期経営戦略期間における配当につきましては、各期の業績に連動させる考え方に基づき、連結配当性向25%以上、かつ各年度の期初に公表する予想配当金を下限とすることを基本方針とします。
https://www.marubeni.com/jp/ir/stock/dividend/ より抜粋
業績が悪くなれば減配すると言うことですね。
実際、2021.3期の配当金予想に関しては
なお、2021年3月期の配当につきましては、修正後の1株当たり年間配当予想22円を下限といたします。
https://www.marubeni.com/jp/ir/stock/dividend/ より抜粋
とのことです。やはり減配は残念ですね。
個人的意見
景気はいずれ回復すること、企業としての財務基盤が安定していることを考慮すると、悪くはない銘柄です。
注意点として、同社株式は景気に大きく業績が左右される点、配当にばらつきが生じやすい点が挙げられます。
精神衛生上の観点からみると、少し保有しづらい銘柄になっています。
また、三大総合商社(三菱、三井、伊藤忠)と比べると、やはり見劣りしているように思えます。
これからの時代は資産運用も重要になっていくでしょう。このブログが皆様の株式投資の手助けになれば幸いです。
共にこの資本主義社会を生き抜いていきましょう!
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