公開日 2021-01-26
最終更新日 2021-04-06
ムッヒョです。
今回は、飲食業界の中で屈指のROEを誇る「串カツ田中HD」の銘柄分析をしていきます。
保有に適しているかどうか分析していきましょう。
今回の記事を読むことで、この銘柄が購入・長期保有に向いているかどうかがわかります。ぜひご覧ください。
いきなり結論
- 財務が危うくなっており危険
- 流石に現時点で保有するのは厳しそう
基礎データ
株価 | 1577円(2021/01/25) |
一株配当 | 未定 |
配当利回り | --- |
株主優待 | 株主優待券 |
優待利回り | ~1.27% |
配当+優待利回り | --- |
セクター | 消費者サービス |
同社は、関東圏を中心に外食チェーン店を展開している企業です。その名の通り串カツを提供するお店を全国展開しており、2008年に世田谷に一号店を開店して以来、現在に至るまで日本国内において250を超える店舗を出店しています。
同社の特徴として、飲食業界の中で高水準なROE(自己資本利益率:どれだけ効率的に稼げているかの指標)を誇っており、2018年には16%を、最盛期は50%を超えるROEを誇っていました。(飲食業界の平均ROEは約8%)
株価チャート


同社は2016年9月に上場し、一時は1株6000円以上の株価をつけていましたが、その後の株価はじわじわと下落しています。さらに、今回の新型ウイルスの影響により業績に大ダメージを受け、現在の株価は1500~1600円台を推移しています。
業績推移


売上高、営業利益、純利益は綺麗に右肩上がりとなっていたものの、新型ウイルスの影響により2020年・2021年の決算において赤字を計上しています。
2020.11期には、
- 売上高 8.7億円強
- 営業利益 -4000万円
- 純利益 -1.2億円弱
- 営業利益率 -5%程度
を計上しています。
2021.11期も同様に赤字の計上を予想しており、今後の推移に注目が必要です。非常に厳しい状況です。
自己資本比率推移

自己資本比率は企業の総資本に占める純資産の割合を示す指標です。
- 計算式…(純資産/総資本)×100
- 総資本…負債(借金)及び純資産の合計
- 純資産…返済の必要が無い資産
自己資本比率が高いほど中長期的に見たときの倒産の可能性が低くなるので、基本的に自己資本比率は高い方が好ましく、40%以上あることが好ましいとされています。
2020.11期の自己資本比率は大きく減じており、23%程度を示しています。飲食産業の中では非常に健全な財務基盤を有していましたが、今回のコロナショックの影響で財務基盤は揺らいでしまいました。大きなマイナスポイントです。
短期・長期借入金


上述の自己資本比率減少の要因として、借入金の増加が挙げられます。
短期・長期合わせて30億円程度の借り入れを行っています。
後述しますが、借り入れ前の保有現金が15億円程度だったことを考慮するとやはり危機的な状況なのでしょう。
キャッシュフロー推移

CF(キャッシュフロー)は企業経営における現金の流れを示す指標です。
- 営業CF…企業の営業活動に関係した収益・費用の流れ
- 投資CF…現事業を維持するために必要な資金・事業拡大のために投資される資金の流れ
- フリーCF…営業CFから投資CFを差し引いたもの
フリーCFから配当金の支払い・借入金などの返済などを行うので、基本的にはフリーCFがプラスになっていることが好ましいです。
フリーCFは不安定な推移をしており、2020.11期は-5億円のフリーCFを計上しています。
配当金性向(PLベース)推移

配当性向(PLベース)は一株あたり純利益に占める一株あたり配当金の割合を示す指標です。
- 計算式…(DPS/EPS)×100
- EPS…一株あたり純利益
- DPS…一株あたり配当金
配当性向を見ることで今後の配当持続安全性を知ることができます。配当性向が低ければ低いほど今後の配当持続安全性は高くなるので、基本的に配当性向は低い方が好ましく、60%以下が好ましいとされています。
配当性向(PLベース)は2020.11期でマイナスを計上しています。
マイナス転落しており業績の悪化が見て取れます。
配当金性向(CFベース)推移

配当性向(CFベース)はフリーCFに占める配当金支払額の割合を示す指標です。
- 計算額…(配当金支払額/フリーCF)×100
- フリーCF…上記「キャッシュフロー推移」参照
- 配当金支払額…配当金として支払った金銭の総額
一般的にはPLベースの配当性向が利用されますが、配当金はフリーCFから支払われるものです。ゆえに、CFベースでの配当性向のほうが安全性をはかる際にはふさわしいと個人的には考えています。
配当性向(CFベース)は2020.11期で-50%程度です。
今回の新型ウイルスに関係なくCFベースの配当性向は不安定です。マイナスポイントですね。
現金等推移

- 利益剰余金…俗に言う内部留保。現金だけではなく、設備・固定資産なども含まれている。
- 現金等…企業が有事の際にすぐ現金化できる、投資有価証券などを含むキャッシュ残高のこと。
両者は区別して考える必要があります。
一般的には現金等に注目した方が詳しい配当持続安全性を知ることが出来ますが、一部の業界に限っては利益剰余金を指標とします。
現金等は現在40億円程度が保有されています。
現金が増加していますが、これは借り入れを行った結果です。最終的には返済する必要があるので、今後の財務健全性は悪化していくことが予想されます。保有の際は考慮する必要があるでしょう。
配当金・増配率推移


今期の配当金は残念ながら20円減配(増配率としては-67%)をしてしまいました。
2021.11期は一株あたり配当は未定です。無配にならないことを祈りましょう。
増配時は中々に高い増配率を誇っているものの、まだまだ歴史が浅いのでなんとも言えません。
株主優待制度

同社は株主優待として株主優待券を配布しています。
保有株数によって変化しますが、最も利回りが良いのは100株保有時です。
一度の使用枚数に制限はありませんが、使用期限が存在するので注意が必要です。
配当方針
■利益配分の基本方針
将来の事業拡大のために必要な内部留保とのバランスを図りながら安定的かつ継続的な配
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS06609/b7f8682c/8bb5/4c77/b17a/fe563461a85e/140120210115444786.pdf より抜粋
当を実施する。
特筆すべき物はありません。
業績が回復するまで復配・増配は期待できないでしょう。
個人的意見
新型ウイルスの影響により、飲食店は危機的な状況に立たされているといっても過言ではありません。同社も例に漏れず大きな打撃を受けており、業績が大幅に悪化しています。
赤字を計上してしまっている以上、安定して配当を受け取ることは難しそうです。
同社は自己資本比率も低いため、この状況が続けば倒産の可能性も十分にあるでしょう。
個人的な意見としては「購入はお勧めできない」という結論に至っています。
兎にも角にも今後の業績の推移に注目が必要でしょう。
↑(投稿情報などをつぶやきます)
これからの時代は資産運用も重要になっていくでしょう。このブログが皆様の株式投資の手助けになれば幸いです。
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