何してる企業?
キリンHD(2503)は、国内大手ビールメーカーのキリンビール、清涼飲料水の製造・販売を行うキリンビバレッジ、医療用医薬品の製造・販売を行う協和キリンなどを傘下に持つ事業持株会社です。
酒類や飲料販売事業などを手掛ける食領域、医薬品の製造・販売を手掛ける医領域、素材研究や機能性表示食品の開発を手掛けるヘルスサイエンス領域の3つの事業領域に分かれています。

利益比率としては食領域が50%以上を占めており、次いで医領域、ヘルスサイエンス領域と続いています。
同社の基本戦略は
- 食領域…収益性の向上
- 医領域…事業成長・グローバルブランド化
- ヘルスサイエンス領域…規模拡大
です。食領域では低収益事業の売却などを行うことで収益力の強化を図り、医領域・ヘルスサイエンス領域には積極的に投資を行なっています。
同社は国内事業の利益が年々減少しているため、海外事業がこの減少分をカバー出来るかどうかが今後の鍵となります。

本業(食領域)から得られる安定した利益を新規事業(医領域・ヘルスサイエンス領域)の成長に使うという、至極真っ当な王道戦略です。
分析スタート
基礎データ(2021/2/23時点)
- 時価総額 1兆7800億円
- 株価 1947.5円
- PER 14.17倍
- PBR 1.82倍
- 自己資本比率 36.2%
- 配当利回り(予) 3.34%
- 優待利回り(予) 0.15〜0.51%
- 総合利回り(予) 3.49〜3.85%
基礎データはざっくりこんな感じです。もう少し詳しく掘り下げていきます。
業績
一株あたり利益(EPS)

EPSは全体的に安定感のない推移をしています。グラフには載っていませんが、2015年度には赤字を計上していました。
2017年度にEPSが突出していますが、これはブラジルキリン社の売却益による一時的なものです。
2019年度以降のEPS大幅減に関しては、海外事業の減損損失や緊急事態宣言等によってビール類の需要減が響いた形です。
2022年度は回復する見込みのようですが、正直不安ではありますね。

新型コロナを許すな。
営業・投資・フリーCF

営業CFは安定して推移しているものの、やや下落傾向にあります。
2021年度には一旦回復していますが、これが単発になるのか、トレンドになるのかが現在不明であるため、次回決算には要注目です。
2019年度以降の投資CFの増加については企業買収によるものです。成長戦略の一環ですね。

成長戦略は今のところ功を奏しているようです。
営業利益率・CFマージン

利益率が年々低下しており、ここは少し懸念点です。
営業CFマージンも下がりつつありますが、2021年度は少し持ち直しました。

今後、利益率を高められるがどうかを注視する必要があります。
財務
自己資本比率・有利子負債比率

財務に関しては、可もなく不可もなくといったところです。アサヒやサッポロなど他のビールメーカーと大差ない数値です。
2017年度の有利子負債比率のデータに関しては、会計基準を変更したことが要因で算出出来ないため、空白になっています。

まぁ潰れることはないかなぁ…?といった感想です。
現金及び現金同等物

現金は特に問題無さそうです。

溜め込んでますねぇ。
株主還元
還元姿勢
株主の皆様への適切な利益還元についても、経営における最重要課題の一つと考えており、「1株あたり平準化当期利益(EPS)に対する連結配当性向40%以上」による配当を安定的かつ継続的に実施するとともに、自己株式の取得については、追加的株主還元として最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑み、実施の是非を検討していきます。
同社決算短信 より引用
EPSの40%以上を配当し、同時に自社株買いを行うこともあると明言しています。
同社は1949年の上場以降非減配を貫いている企業であるため、今後も期待が出来るかもしれません。
自社株買いにおいても、2018〜2020年に合計3000億円分を、2022年にも500億円を上限として行うことを発表しており、中々に熱心な株主還元姿勢が伺えます。

こういう企業を応援したくなります。
配当・配当性向

上場以来非減配を貫いています。2019年度以降は配当性向が高止まりしていましたが、2022年度は大幅に改善される予想です。

70年以上非減配は凄いですね。
株主優待

「キリンビールギフト」「キリンビバレッジ商品詰め合わせ」「メルシャワイン詰め合わせ」「機能性表示食品」「キリンシティお食事券」など、複数の中から選択できるようになっています。詳しくは同社HPをご覧下さい。
保有株数によって1000円〜3000円相当の優待が貰えます。1番還元率が良いのは100株保有しているときで、0.51%の優待利回りです。

安牌はビールですかね。
まとめ
同社は上場以来非減配を貫くなど、株主還元に対して熱心な姿勢を有していることが伺える銘柄です。
しかしながら、同社は国内事業の利益が年々減少しているため、海外事業がこの減少分をカバー出来るかどうかが今後の鍵となります。
利益の海外比率は10%を優に超えており、医・ヘルスサイエンス領域の成長戦略が成功するようであれば、今後の業績にも期待が出来るでしょう。
懸念点としては、利益率が低減傾向にあることや、財務が少し弱いことなどが挙げられます。
その辺りが許容可能であり、同社の成長シナリオを信じることが出来るのであれば、保有するのも面白いかもしれません。

私はもう少し様子見です。
↓同じく12月決算の高配当銘柄
↓近いうちにリライト予定の12月権利確定銘柄
↑(投稿情報などをつぶやきます)
※投資は自己責任でお願いします。当ブログは利益を保証するものではございません。
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