公開日 2022-01-13
最終更新日 2022-02-01
何してる企業?
日東富士製粉(2003)は小麦粉の製造・販売を行う1914年設立の老舗企業です。現在は製粉・販売事業に加えて、外食事業や運輸事業なども手掛けています。
製粉業界第4位のシェア(と言っても市場の4%程度ですが…)を誇り、現在は三菱商事の子会社です。
同社が属する製粉業界は、小麦の価格に業績が大きく左右されるため、制御不可能な面が多いことが特徴として挙げられるでしょう。
日本で消費される小麦は約9割が輸入頼みです。政府が一括で買い入れた小麦を国内の製粉会社が買取る「政府売渡制度」が設けられており、輸入小麦の価格は政府によって決められています。また、小麦の価格は関税や為替、天候不順、輸送コスト、新興国の食生活の変化など様々な要因が反映されており、小麦粉価格は下落や上昇を繰り返すなど不安定な相場が続いています。
業界動向.com より引用

白い粉を作って売ってます。
分析スタート
基礎データ(2022/1/12時点)
- 時価総額 357億円
- PER 11.18倍
- PBR 0.85倍
- 自己資本比率 75.6%
- 配当利回り(予) 3.59%
基礎データはざっくりこんな感じです。もう少し詳しく掘り下げていきます。
業績
一株あたり利益(EPS)

EPSは2012年から回復傾向にあります。コロナ禍の影響もあり、2022年は10%程度の減益予定です。

ええやん?
営業・投資・フリーCF



2012年の営業CFにマイナスがあるのが少し気になりますが、この要因は
- 売上債権の増加
- 棚卸資産の増加(原材料である小麦粉の在庫)
によるものであるため、割り切っても良いと思います。
なお、2009・2014年にも営業CFが大きく減少していますが、2009年は法人税支払額の大幅増加によるもの、2014年は仕入債務の支払いによるものです。

それぞれの要因を考慮すれば、同社の営業・フリーCFマイナスは許容範囲です。
営業利益率・CFマージン


利益率・CFマージン共に改善傾向にあります。

素敵やん?
財務
自己資本比率・有利子負債比率


自己資本比率・有利子負債比率共に改善傾向にあります。有利子負債比率に関してはもう少しで0%になるため、無借金経営になりそうです。
同社は小麦粉という需要の無くならない商品を取り扱っていることもあり、よっぽどのことがない限りは潰れないと思います。

感動やん?
現金及び現金同等物

増加傾向にあります。特に言うことはないですね。

言うことないやん?
株主還元
還元姿勢
当社は、株主の皆様への利益還元を重要課題の一つとして認識しており、各事業年度の業績の状況と将来の事業展開を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当の維持を基本としつつも、連結ベースの配当性向30%以上をもう一つの基準とし、株主の皆様のご期待にこたえて参りたいと考えております(中略)
2025年3月期迄は、株主の皆様への利益還元をより一層強化するため、連結ベースの配当性向を40%以上に引き上げることとしました。
同社IRライブラリー 利益配分に関する基本方針の変更ならびに剰余金の配当(中間配当)の決定及び期末配当予想の修正に関するお知らせ より引用
同社は2025年3月期まで、配当性向の目安を従来の30%以上から40%以上に引き上げることを発表しました。
株主還元に熱心な姿勢を見せていますね。

2025年以降も継続してくれて良いんですよ?
配当・配当性向


配当は2011年に減配をしているのがネックですね。2015年に関しては前年の配当に記念配当が含まれているため、実質的には減配はしていません。
2022年の配当は136.5円(期中に株式分割を行っているため、大体の目安だと思って下さい)と、およそ17%の増配を予定しています。
配当性向は50%を超えている年がなく、良くも悪くも非常に安定しています。
2011年は減配せずとも、数値上は配当性向が100%を超過することはありませんでしたが、同社が減配を行ったことを考えると、今後も同様のことが起こる可能性はあります。

富士製粉くんの!ちょっといいとこ見てみたい!(訳:減配しないで!)
まとめ
製粉業界そのものは縮小するとしても、大きく減退するとは考えづらいこと、業績が全体的に改善傾向にあること、配当利回りも食品セクターに属する同業他社と比較すると高いことから、同銘柄はセクター分散の一環としても長期的に保有するに相応しい銘柄かもしれません。
しかしながら、仕入れ価格が安定しないといったような一企業には制御不可能な部分が多いため、保有するのであれば業績の動向に一喜一憂しすぎない方が良いでしょう。

業界4位の地位を競争優位性が低いと捉えるか、伸び代と捉えるかで同社への評価が分かれるかもしれません。
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