公開日 2021-10-04
最終更新日 2021-12-16
保有銘柄の一つである、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)より配当金と運用報告書を受領しました。
インフラファンドは安定して高配当の分配金を獲得できる一方で、市場が形成されてから日が浅いせいもあるのか、法律・制度が変更されるリスクが顕在化している現状があるようです。
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人について

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は、2017年に日本で設立されたインフラファンドです。
同法人は日本国内の太陽光発電設備に投資、これを保有し、他者に貸し出すことで賃料収入を得るという収益構造をしています。
2017年10月30日には、東京証券取引所インフラファンド市場にインフラファンドとして初めて上場し、現時点で上場インフラファンド市場最大となる資産規模800億円のインフラファンドとして国内トップの座に君臨しています。
同社の特徴
スポンサーが太陽光パネルメーカー
同法人のスポンサー企業は、太陽光パネルなどの製造・販売から太陽光発電所の開発・運営に至るまでの幅広い太陽光発電事業をグローバルに展開しているカナディアン・ソーラー・グループです。
本社はカナダにあり、太陽光パネル出荷量が世界第4位(2020年5月時点)という実績を有しています。
垂直統合型モデルによる効率的な運用
同法人のスポンサー企業であるカナディアン・ソーラー・グループは、トータルプロバイダーとしての卓越した知見を用いて、太陽光パネル等の製造・販売から太陽光発電所の開発・運営に至るまでの再エネ発電事業バリューチェーンを提供しています。
同法人もその例に漏れず、太陽光パネルや発電所の製造・開発からO&M(オペレーション&メンテナンス)サービスによる保守・運用に至るまで、カナディアン・ソーラー・グループのバリューチェーンを利用しています。
これにより、
- 企画・開発・運営ノウハウの獲得及び活用
- 保守・運用コストの低減
- これらに基づく設備開発・利用率や発電量の逐次最適化
などの効率的な資産運用を可能にしています。
グローバル・オファリング
同法人は国内市場のみならず、海外市場からも資金を募集しています。
海外の投資家たちも投資主の対象とすることで、投資主の裾野を広げると同時に、投資口の流動性確保や増資の際の安定性を高め、グローバルスタンダードを意識した資産運用を行なっています。
保有施設ポートフォリオ
保有物件は、おおよそ
- 九州地区に70%
- 中国地区に15%
- 関東・北陸・東海地区に5%ずつ
- 北海道・中部地区に1%ずつ
の割合で日本中に展開しており、西側にやや偏っていることが見受けられますが、ある程度分散されています。
日出第二発電所(大分)・益城町発電所(熊本)・大山町発電所(鳥取)の施設規模上位3箇所でポートフォリオの70%以上を占めているため、この3箇所に何か問題が生じた際の損害は大きいものになるかもしれません。
分配金推移
一口あたり分配金の推移は以下の通りです。
- 第2期…2,350円
- 第3期…3,600円
- 第4〜5期…3,650円
- 第6〜8期…3,700円
- 第9期〜…3,750円(予定)
第3期から分配金は2〜3期毎に50円ずつ増加しています。増配率に換算すると1.4%前後の増配率になりますので、高い水準ではありません。
現時点で利回り6%前後と非常に高利回りなので、増配率まで求めるのはこれからも難しいかもしれません。
現時点で特筆すべきインフラファンド投資のリスク
分配金利回りが高く、投資口の価格推移も安定していて投資妙味のありそうな投資先であるインフラファンドですが、当然リスクも存在しています。
再エネ特措法の改正などの制度変更リスク
2020年の再エネ特措法改正では、「太陽光発電設備の廃棄費用の外部積立の義務化」などの制度改正が為され、2021年の2月に義務化が適用される対象が発表されました。
同法人もこの義務化の対象に含まれていたため、今後は費用の増加による利益の圧迫が予想されています。
インフラファンド市場は形成されてからまだ日が浅いため、制度変更などが度々発生しています。このような制度変更のリスクはインフラファンドに投資をする上で避けては通れないので、動向を注視する必要があるでしょう。
なお、次回は2022年4月に新たな再エネ特措法の改正が行われる予定です。
気候変動・天災などの地政学的リスク
日本は台風・地震・噴火・津波などの天災リスクが大きい国です。近年では大雨が頻発するなど、気候変動による異常気象などのリスクも生じています。
同法人は特に九州地方に施設を多く保有しているため、台風や大雨による設備の破損・発電量の減少などに留意する必要があるかもしれません。
まとめ
同銘柄などのインフラファンドは、分配金が高利回りで元本価格が安定していること、株式・債券・REITなどと異なる価格推移をすることから、一定額の資金を振り分けておく投資先としてお勧めです。
しかしそれは同時に、天候不順や法規制の変更など、株式や債券などとはまた異なるリスクが存在することを示しています。既に顕在化しているリスク、未だに潜在化しているリスクなどが存在していることは明白であり、それらは頭の片隅に留めておく必要があるでしょう。
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